研究も遊びも全力!物工の研究室生活
大学院博士後期課程2回生
量子計測領域・濵名基行さん
博士後期課程2年の濵名基行さんに物理工学科目/精密工学コースでの大学・研究室生活についてインタビューさせてもらいました!
濵名さんは、学部から大阪大学・応用自然科学科・物理工学科目で物理を学び、現在、大学院・物理学系専攻・精密工学コースの量子計測領域で研究活動に取り組んでいます。
研究活動においては、超音波の技術を使って、細胞の計測システムの開発や無線通信可能な超音波センサの研究を行っておられます。
ここでは、学部時代の講義と研究活動の結びつき、進路選択の岐路の振り返り、研究の内容などざっくばらんに話を聞かせてもらいました。
ナノテクノロジーに強い関心。実際のモノづくりに応用してみたい!
Q. 少し前になりますが、なぜ、大阪大学・応用自然科学科・物理工学コースに進学されましたか?
A. 私が物理工学コースを選んだ理由は、物理が自分の得意分野であり、その強みを今後の学びに活かしたいと考えたからです。
私はもともと化学に興味があり、大阪大学・応用自然科学科に入学しました。
しかし、1年次に物理・化学・生物を幅広く学ぶ中で、最も理解しやすく、学ぶことに面白さを感じたのが物理でした。
数式や基本法則を用いて、一見複雑な現象を論理的に説明できる点に魅力を感じるとともに、成績の面でも物理が自分の強みであることに気付きました。
そこで、当初の興味だけにこだわるのではなく、自分の得意分野を生かしながら専門性を高めたいと考え、物理を中心に学ぶことを決めました。
物理を学ぶと決めた後は、応用物理学コースと物理工学コースのどちらに進むかを選択する必要がありました。
その中の物理工学コースを選んだのは、ナノテクノロジーに強い関心を持っていたためです。
目に見えないほど小さな構造を作製・制御することで、材料やデバイスに新たな機能を生み出せることに大きな魅力を感じました。
また、物理学の知識を学ぶだけでなく、微細加工や計測技術、センサーなどの実際のものづくりに応用できる点にも興味を持ちました。
実践的な講義は、研究生活にすぐ役立つ。
Q. 学部時代を振り返ってみて、講義の内容はどのようなものでしたか?
A. 研究室生活に入る前に前提として、物理工学科目/精密工学コース全体として非常に学生に対する面倒見がよく、しっかりと講義に着いていけば成長できるということを強調したいです。
学部2年次から応用自然科学科の中で物理工学コースに配属され、講義や実験が始まりますが、2年次の前半は1年次に学んだ基礎数学の演習、そこから少し発展した数学や基礎的な物理学の講義を中心とした講義が始まります。
そして2年次の後半に、前半で学んだ数学の演習があるといったように、演習の講義があるのがポイントだと思っています。
演習があることで1度講義を受けてテストを解いて終わりではなく、学んだことに何度も触れるように設計されているためより定着したように思います。
Q. 今、博士課程に進学してみて、学部の講義と研究生活とは結びつきがあるのでしょうか?
A. 自分の研究では、講義で学んだことが研究生活に直結しているように感じます。実際の研究生活に役立つ、実践的な講義が多くあります。
例えば世の中にある様々な顕微鏡の原理や特徴を網羅的に学ぶ講義があります。
当時はただ覚えるだけでイメージできなくても、研究室に入っていざ顕微鏡を使うとなった際に、再度復習して原理を理解したうえで使うことができました。
一度触れたことがあるというのが非常に重要で、新たに覚えるよりも思い出すという方が定着度合が違うように感じ、講義の内容や必死に勉強した自分に感謝した覚えがあります。
このように物工は講義と演習で繰り返し学ぶようなカリキュラムや、実践的な内容の講義にしっかりついていけば、研究を始める際にある程度の下地が作れるようになっていると感じています。
自主性が重視される文化。議論を通して研究進める。
Q. 4年生からは、研究室生活がメインになりますよね?どのような生活を送られていますか?
A. 私が所属している量子計測領域は、独自の超音波計測技術を活かし、他では測れない材料物性の計測やアルツハイマー病の原因タンパク質の早期検出・細胞の機械特性評価・新たなセンサー開発など、幅広い分野に裾野を広げた研究を行っています。
研究生活を始めて最も印象的なのは、学生の自主性を大切にする文化です。
研究テーマ設定は先生方から複数の候補から自分たちで選ぶところから始まり、日々の実験計画も基本的に学生に任されます。
また実験などについて先生方に相談したり提案したりすると、頭ごなしに否定されることはなく一緒に考えて研究を前に進めるための議論ができます。
このようにいわゆるトップダウンではなく学生それぞれが考え動くことができる文化であるため、同じテーマをほかの学生とやることはありませんが、学生全体として研究を頑張る一体感が出ているように感じます。
遊びも全力!
Q. 研究室では、研究漬けでしょうか?結構、遊んだりもしますか?
A. 結構、遊んだりもしますね。(笑) 所属研究室では、新しいメンバーがきたときの歓迎会や大学院入試・卒論発表などの節目には先生も含めて、研究室全体で飲み会をしたり、そうでないときは、学生間で自然発生的に飲み会をしたりします。
メンバーには研究を頑張るときは頑張る、遊ぶときは全力で遊ぶ人が多くいます。
研究の合間の息抜きに、テニスやキャッチボールに行ったり、年に1回、1泊2日でコテージに行ってBBQや全力ドッジボールしたりしています。
研究はもちろんのこと、イベントでも後輩に負けないよう全力で取り組んでいます。(笑)
自作の装置でデータを取得できた達成感
Q. 具体的な研究内容についても少し聞かせてもらえますか?
A. 学部から修士課程では水晶振動子を用いた細胞の力学特性と形態変化の同時モニタリングシステムの開発に取り組んでいました。
細胞の形態を顕微鏡で観察しながら、同時に質的な変化を薄い水晶を使った超音波センサで計測する、いわば、目(顕微鏡)と耳(超音波センサ)を持つシステムを作ろうとしました。
ラボ内でも私が始めて進めるテーマだったため、はじめは全然うまくいかず、実験するための治具の構造を考えるのにもとても苦労しました。
荻先生や当時学生だった藤原先生と相談しながら進めて、自分が考え・自作した実験装置の構造でデータが取れた時の達成感はひとしおでした。
Q. 本当に研究を任されているという感じですね!得られた成果は外部に向けて発表したりするんでしょうか?
A. はい。研究が進んでいるとそのような機会もあります。大学院生は、国内外の学会に参加したり、博士課程では、英語の論文も書いたりします。
個人的な話をすると博士課程1年生の時にはUSE(Symposium on Ultrasonic Electronics)という学会で、上記の成果を発表し、若手研究者に贈られる奨励賞を受賞することができました.
この賞は優秀発表者に送られる賞で、これまで荻研の優秀な先輩方も受賞されており、1学年上の太田さんも同時に受賞だったこともあり、先輩方に少しでも近づけたようで心から嬉しかったです。
世界にまだない技術を生み出すワクワク感
Q. かなり研究に没頭されているようですね!博士課程に進学し研究することは、かなり前から心に決めていたんでしょうか?大学入学時とか?
A. 実は、私は修士2年の冬までは博士課程に進学せず就職するつもりでした、理由は単純で早くお金を稼ぎたかったからです。
それ以前から博士課程に進学することに興味はありましたが、現実的に早くお金を稼いで両親を安心させたい、恩返しをしたいという思いから就職することを決めていました。
しかし、修士2年の秋から冬にかけて研究が大きく前進し、研究を続けたいという気持ちが大きくなり、このまま大学を出て就職したら絶対に後悔すると思い博士進学を決意しました。
進学の背中を押してくれた荻先生と家族には本当に感謝しています。
Q. 修士2年の冬ですか!かなりギリギリですね。(笑) 実際進学してみてどうでしょうか?
A. すさまじく研究に没頭できています!修士までとは変わり、論文を書くということを常に考え計画を立て、実験やシミュレーションを行い、結果をまとめていくのを繰り返しています。
ときにはしんどいこともありますが、自分が興味をもち、わくわくすることに没頭できるというのは大きな充実感があります。
博士進学を悩んでいた当時は修士で終えるよりも3年遅くれて働き始めることに経済的にもキャリア的にも不安を感じていましたが、今は研究に没頭することで身に着けられる能力を磨くことや、ほかの博士学生との新たな出会い、研究生活の充実感に不安以上の価値があると考えています。
これからも支えてくれる人への感謝を忘れず研究生活を楽しみたいと思います。
Q. 博士課程に進学された現在も、細胞の研究を続けていますか?
A. 博士課程では新たに、これまでの知見を活かし水晶振動子を用いたバッテリーフリー無線計測システムの開発に取り組んでいます。
計測メカニズムを理論化し、実際の計測システムの設計に応用していくという、机(理論)と実験室(実験)の往復は世界にまだない技術を生み出すというわくわく感であふれていて、充実した研究生活を送ることができています。
またこのテーマは社会インフラへの応用を見据えたものであるため、ラボ内では完結せず実際に現場に出て実験するなどなかなかできない貴重な経験をさせていただいています。
博士学生との交流は刺激をもらえる
Q. アメリカに研修で訪問されたときのことも教えてください!
A. 大阪大学次世代挑戦的研究者育成プロジェクトの北米研修に参加しました。
この研修では事前に選考された博士学生16人が起業志向を養うべく、シリコンバレーのスタートアップやGoogle社の訪問やスタンフォード大学の学生との交流・自身の研究をもとにスタートアップを立ち上げることを想定したビジネスピッチなどを行いました。
研究成果を「誰の、どのような課題を解決できるのか」という視点から捉え直し、限られた時間で相手に魅力を伝えるビジネスピッチの経験は、非常に新鮮であると同時に難しさも感じました。
研修を通じて得られた学びは数多くありましたが、私にとって特に大きな収穫は、普段は関わる機会の少ない他研究科の博士学生と交流できたことです。大きな刺激をもらうことができました。
それぞれの研究分野や将来の進路は異なるものの、研究が思うように進まないときの悩みや、博士課程修了後のキャリアに対する不安など、同じ博士学生だからこそ共感できる話題について率直に意見を交換することができました。
研修期間中は、異なる価値観や考え方に触れるたびに自分の視野が広がっていくことを感じ、非常に充実した時間を過ごすことができました。
短期間の研修ではありましたが、研究に対する考え方だけでなく、自分自身の将来や働き方についても改めて考えるきっかけとなりました。
研修後も、ここで知り合った博士学生との交流を続けており、研究や進路について相談し合える貴重なつながりになっています。この研修で得た経験と人とのつながりを、今後の研究活動やキャリア形成にも生かしていきたいと考えています。
最後に、物理工学科目/精密工学コースや所属研究室について一言ください!
物理工学コースや量子計測領域は物理を基礎に、微細加工、センサー、量子技術など,ものづくりを幅広く学ぶことができます。
自分のアイデアを形にし、まだ誰も実現していない技術に挑戦できる環境があります。
物理が好きな人、ナノテクノロジーやものづくりに興味がある人、世界で初めての研究に挑戦したい人にとっては楽しみながら自分の可能性を広げられる場所だと思います。

